日本代表がAFCフットサルアジアカップクウェート2022でアジア王者に8年ぶり返り咲きで沸くフットサル界。国内最高峰のフットサルリーグ「Fリーグ」湘南ベルマーレフットサルクラブ伊久間洋輔監督がFリーグの魅力を親切丁寧に語ります。前半は「Fリーグの特徴を知るポイント!」を、後半は「Fリーグならではの技術・戦術を知るポイント」でお届けします! 【取材・構成=taka】2022年11月1日現在の情報です。
伊久間洋輔(いくま・ようすけ)
1976年2月13日、藤沢市生まれ。湘南ベルマーレフットサルクラブ監督。小3でサッカーを始め、日大藤沢高校、国士舘大学ではサッカー部に所属。主にボランチ&サイドバックの自称「がんがん系」、利き足は右。会社員から24歳の時に湘南ベルマーレフットサルクラブの前身「P・S・T・Cロンドリーナ」をわずか7人で立ち上げる。2003年、日本選手権で優勝し、スペイン開催の世界一決定戦に出場。P.S.T.C.LONDRINA育成スタッフ、神奈川県フットサル強化委員長。2007-2008シーズンはFリーグ選手として活躍。スポーツを通じた幼児教育にも力を入れている。最近の趣味は釣り。好きな食べ物は「かりんとう」。
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【ウォーミングアップ】Fリーグってこんなリーグ
Fリーグとは国内最高峰の日本フットサルリーグで、Division1とDivision2の2部制です。Fリーグ2022-2023 Division1 は、エスポラーダ北海道(札幌市)、バルドラール浦安(浦安市)、フウガドールすみだ(墨田区)、立川アスレティックFC(立川市・府中市)、ペスカドーラ町田(町田市)、Y.S.C.C.横浜(横浜市)、湘南ベルマーレ(小田原市)、ボアルース長野(長野市)、名古屋オーシャンズ(名古屋市)、シュライカー大阪(大阪市)、ボルクバレット北九州(北九州市)、バサジィ大分(大分市)の全12クラブで熱戦が繰り広げられます。
それぞれのホームタウンのアリーナを拠点にホーム & アウェイの方式で戦うリーグで、今年で16年目となります。2022-2023 Division2は9チームです。F1、F2ともにホーム&アウェイ方式による、2回戦総当りのF1リーグ戦を行います。勝点制で、勝利=3点、引き分け=1点、敗戦=0点となり、勝点の合計が多いチームを上位とし順位を決定します。リーグ戦終了後、リーグ戦上位3チームでプレーオフを行い、シーズン王者を決めます。また、Division1とDivision2の入替戦もあるので、シーズン最終節まで気が抜けませんし、応援する側も熱がこもります。
Fリーグが誕生した2007-2008シーズンから2021-2022シーズンまでの15シーズンで、名古屋オーシャンズが優勝14回と絶対王者に君臨しています。湘南ベルマーレは昨シーズン、過去最高の2位躍進を果たしました。王者の壁は高いですが、各チームともに年々レベルが上がっていますので白熱の試合をそれぞれのアリーナで楽しめると思います。
【前半】Fリーグの特徴を知るポイント!
さて前半はFリーグならではのコートサイズ、選手交代、クラブと選手の特徴を知ることで、臨場感やスピード感、そして親近感を楽しみましょう!
point 1>コートサイズを把握して臨場感を楽しもう!
まずはFリーグのコートサイズを把握しましょう。Fリーグのコートサイズは40m×20m=800㎡になります。サッカーの国際大会やJリーグでのピッチサイズは105m×68m=7,140㎡ですので、約9分の1のサイズになります。出場選手はサッカーの計22人に対し、フットサルは計10人。それぞれの面積を選手数で割ると1人あたりでサッカーは324㎡、フットサルは80㎡になります。単純にサッカーと比べて選手間の密度は4倍になる計算です。
このように選手間のスペースが限られるため、Fリーグではゆっくりとしたボール回しでの時間稼ぎも難しく、常に攻守の切り替えとなるほどスピーディな試合となります。また、以前はボディコンタクトは認められていませんでしたが、今は激しいぶつかりあいもOKです。スピーディかつ激しい攻防が、目の前で繰り広げられる臨場感も大きな魅力です。
point 2>選手交代を知ってスピード感を楽しもう!
Fリーグではプレーが途切れたアウトオブプレー時はもちろん、インプレー中でも選手交代が可能です。サッカーでは主審の許可が必要ですが、フットサルでは必要ありません。選手交代について細かい規則はありますが、まずは「Fリーグはいつでも、何度でも交代可能」と考えてもらって大丈夫です。「パワープレー&パワープレー返し」や「セット」など、「いつでも何度でも交代可能」だからこそ可能になります。
point 3>クラブと選手の特徴を知って、親近感を楽しもう!
どのスポーツもそうですが、Fリーグでも各クラブや選手の特徴などを知っていると、より応援にも熱が入りますし、観戦も楽しくなりますね。湘南はチームとしては「走って倒されても立ち上がりゴールに迫る」湘南styleを見てほしいですね。
また、湘南では全ての選手にキャッチコピーがあります。例えばブラジル出身のGKフィウーザは「湘南の要塞」で、昨シーズンMVPのブラジル出身FPロドリゴは「湘南の先導者」という感じです。FPはフィールドプレーヤーのことで、主に攻撃的な「ピヴォ」、中盤両サイドの「アラ」、守備的な「フィクソ」と役割があります。
クラブ公式サイトの「トップチーム」紹介では、「あこがれの選手」「試合前&後のルーティン」、そして「得意なプレー、ここを見て!」などの一問一答を掲載していますので、観戦前にどんな選手かイメージしやすくしています。
逆に「全然湘南styleじゃないだろ!」とか、「湘南のミドルレンジャー」のキャッチコピーがあるのに、全然ミドルで打たないようなら、試合後にSNSなどで愛のある批判をしていただいてサポーター間で盛り上がるのも試合後の楽しみになりますね。
【後半】Fリーグならではの技術・戦術のポイント!
後半はいよいよFリーグならではの技術、戦術のポイントになります。「パワープレー」や「セット」を知ることで、Fリーグ観戦の楽しみが一気に倍増します。
point 4>フットサルならではの技術を知って、凄さを楽しもう!
Fリーグは相手選手との距離感も近いことから、ボールが体(足元)から離れれば離れるほどば、相手にボールを奪われやすくなります。よく子どもたちから「サッカーとの違いは足の裏の使い方ですよね?」と質問されますが、足の裏でボールを扱っている方が相手選手との距離がキープできます。確かにインサイド(足の内側)でトラップすると、ボールが体から離れてしまいます。確かに足の裏をよく使いますが、全ては状況次第ですね。
また、シュートの際につま先で蹴る「トーキック」もFリーグではよく見られます。コートが狭く、密集しているフットサルならではの技術ですね。サッカーでは強烈なシュートを打つ時は足の甲、いわゆるインステップでのシュートになりますが、その分テイクバック大きくなります。フットサルの試合でサッカーのインステップのように「1、2、3」で打っていたら相手選手にスライディングで防がれてしまいます。その点、トーキックは「1」で打てますのでFリーグでも非常に有効なキックです。
余談ですが、我々のような世代では小さい頃からサッカーでトーキックを使うと指導者から怒られたものです(笑)。それが2002年の日韓ワールドカップ準決勝ブラジルvsトルコ戦で、ブラジル代表FWロナウドがトップスピードのままトーキックで決めたゴールのおかげで、日本でも「あれ、トーキックでもいいじゃん」と風向きがガラリと変わりました。やはりサッカーの歴史と伝統が根付くブラジルらしい技術と考え方ですよね。Fリーグでも得点のためには「使える技術は使う」考え方が浸透していますね。
point 5>パワープレー&パワープレー返しを知って、捨て身の戦法を楽しもう!
パワープレーはまさにFリーグならではの醍醐味の一つです。本職のGKと、GKユニフォームを着用したFPを交代させて、FP5人で攻めることをパワープレーと言います。基本的には負けているチームが残り数分の段階で選択する「捨て身の戦法」です。GKが不在でゴールマウスががら空きになってしまうので、パワープレー中に相手にボールを奪われると失点のリスクもかなり高いですから。ハイリスクハイリターンの戦術をぜひ楽しんでほしいですね。
また、パワープレーにもトレンドがあり、Fリーグでも負けているチームが残り数分でほぼ間違いなく取る戦術でしたが、最近では同点の場合でも「絶対に負けられない」格上チームがパワープレーに出ることもあれば、両チームパワープレーに転じることもあります。さらには、勝っているチームが技術力の高い5人の選手でボールを回すような時間稼ぎのパワープレーもあります。勝っているチームの時間稼ぎ的なパワープレーに対して「モラル的にどうなんだろう」との意見もありますが、GK不在ですので当然リスクを負っていますので。様々な意見がありますが、Fリーグとして話題になることはプラスだと思っています。
point 6>FP4人の組み合わせ「セット」を知って、駆け引きを楽しもう!
セットは出場するFP4人の組み合わせのことです。Fリーグは1チーム14人登録で、GKが2人だとすると、残り12人ですから3セットを構成できます。ベストメンバーが3セットあり、体力を温存しながらハイパフォーマンスで試合を展開できれば理想ですが、もちろんそうもいきません。無理に3セット構成にすると戦力が落ちることもあります。
湘南ベルマーレでは6人、6人の2セットで、ベストの4人でスタートし、2セット目に変わります。試合とともにそれぞれのセットの中で、状態の良い選手や、状況に応じてスピードのある選手、ボール回しが上手い選手、時間を稼げる選手などを起用します。また、チャンスと見れば、スピードタイプを2人同時に起用してゴールを狙います。
「セット」の概念は、交代が自由なフットサルならではですね。日本でフットサルが普及し始めたころは、交代が自由でも「ベストメンバーで進めて、最後の方で選手が交代」するようなこともありましたが、今は積極的にセットで交代しながら体力を温存し、常にハイパフォーマンスが繰り広げられるようにしています。
セットの考え方はアイスホッケーに似ているとも言われます。スペインなど欧州では、FKの時だけ出てくるシューターもいます。通常3セットに加えて、バランスタイプ、FK要員、攻撃タイプ、守備タイプ、そしてここぞ用のセットプレーセットなどもあります。
Fリーグを楽しむポイントはまだまだありますが…。Fリーグをまだ見たことがない方も、Fリーグ観戦初心者の方も「Fリーグ湘南ベルマーレ伊久間監督の『Fリーグを100倍楽しむポイント』」を通じてFリーグや趣味のフットサルを楽しんでもらえれば嬉しいですね。また、楽しみ方は人それぞれですので、自分なりの「Fリーグを100倍楽しむポイント」を、ぜひブログやSNSで発信していただけると、Fリーグは更に盛り上がりますね。【湘南ベルマーレフットサルクラブ 伊久間洋輔監督】
bonus point>Fリーグ開催日のアリーナエンタメを楽しもう
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【小田原アリーナのアクセス】湘南ベルマーレフットサルクラブの本拠地
【取材こぼれ話】Fリーグ観戦初心者が疑問や魅力を監督に直接聞いてみた…
「Fリーグ湘南ベルマーレ伊久間監督の『Fリーグを100倍楽しむポイント』」を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。2002年の日韓ワールドカップ落選後にReggina移籍した中村俊輔担当としてセリエAの取材を開始し、2007年からはサンフレッチェ広島担当として2012年までJリーグはじめ、プロ野球、高校野球、高校サッカーなどを取材しました。その後、大阪の広告代理店やWeb制作会社を経て2022年夏、高校・大学時代の1988年から1998年ぐらいまで過ごした小田原に活動拠点を移したところ、縁あって8月20日のホーム小田原アリーナでのバルドラール浦安戦を初観戦する流れになりました。1-3で湘南が負けた試合でしたが、初めて目の当たりにするFリーグのスピード感や臨場感、そしてセットの組み合わせやパワープレーまで目から鱗の連続でした。この「Fリーグ湘南ベルマーレ伊久間監督の『Fリーグを100倍楽しむポイント』」は、私のようにFリーグ観戦初心者や、Fリーグの存在を知らない方にもFリーグの概要や魅力が伝われば、との思いで企画しました。伊久間監督はじめ湘南ベルマーレフットサルクラブの皆様、ご協力ありがごとうございます。「Fリーグ湘南ベルマーレ伊久間監督の『Fリーグを100倍楽しむポイント』」を通じて、まずは「Fリーグとは何ぞや?」「Fリーグの戦術って?」の初歩レベルはクリアできたのではないでしょうか。百聞は一見に如かずですので、ぜひFリーグを生観戦をお勧めします。Fリーグ湘南ベルマーレの小田原アリーナでのホーム戦は、朝から設営やら取材やら雑談やらしていることが多いので、ぜひお声がけください。【taka】
■小田原style■ 小田原styleは「オダワラの魅力を、多角的に。」をコンセプトに、小田原市内を拠点にフリーランスでWeb marketing & promotion事業を展開するarawadoが2022年夏から制作・運用するWebメディアです。現時点でのカテゴリは「spot」「gourmet」「lifestyle」「pride」「column」で、それぞれのテーマは下記になります。 ・spot…小田原をはじめ西湘エリアの観光地や景勝地、SNS映えするような場所の紹介。 ・gourmet…小田原をはじめ西湘エリアの名産品、飲食店などグルメの紹介。 ・lifestyle…小田原をはじめ西湘エリアのジムや習い事、サークルなどライフスタイルの紹介。 ・pride…小田原をはじめ西湘エリアが誇る企業・団体・人物・イベントなどの紹介。 ・column…小田原をはじめ西湘エリアに関することを自由気ままにコラムで紹介。 ※てにをはの調整・修正、誤字脱字の修正、表記統一、より良い表現への変更等、本コンテンツの内容を大勢に影響を及ぼさないレベルでの加筆・修正・削除・変更等を行うこともあります。
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