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【ベルスポvol.13】2023-24シーズン開幕前特集 伊久間監督インタビュー「リーグ戦を2位通過からの優勝を」

国内最高峰フットサルリーグ「Fリーグ」2023-24シーズンが5月末に開幕を迎える。攻撃的フットサルを貫く湘南ベルマーレフットサルクラブの伊久間洋輔監督に、新たなシーズンへの意気込み、そして展望を聞いた。絶対的エースとして君臨したブラジル代表FPロドリゴの退団、台頭著しい若手、優勝争いの鍵を握る注目選手は!? Fリーグ元年から17年目の今季、「湘南のラストサムライ」と称される指揮官が超攻撃的な「湘南style」で悲願の初優勝へと導く。
 【取材・構成=taka FAO(Futsal Academy of ODAWARA=ファオ)広報公聴委員会委員長】
※2023年5月15日現在の情報です。

「積湘為大」のスローガンを掲げ、小田原に日本一を


昨季はリーグ5位も全日本選手権準優勝フィニッシュの波に乗り開幕へ

――過去最高2位躍進を果たした2021-22シーズンから2022-23シーズンは5位に終わった。ただ、リーグ終盤までプレーオフ進出圏内の3位争いを繰り広げ、全日本選手権では準優勝に輝くシーズンだった。

リーグ戦に関しては一昨年に2位となったことで、昨シーズンは相手チームも湘南ベルマーレを意識することも割と感じました。その状況で順位こそ5位ですが、得点も失点もリーグ2位の数字を残したこともあり、チーム全体として「やれた感」は皆、抱いています。5位だったことに対して悔しさがあることが、皆が「優勝を狙えるメンタル」を持っている証とも言えます。

リーグ戦終了後の3月に開催された全日本選手権では決勝進出を果たし、シーズンを終えました。特に名古屋オーシャンズとの準決勝では、チームが掲げる「走ることを惜しまず、倒されても何度も立ち上がり、荒波のようにゴールに迫る。機動力フットサル」の湘南styleを貫き、PK戦までもつれた激闘を制したことは大きな収穫です。

名古屋もうちの圧力を嫌がっていたように感じたし、攻めの姿勢で負けたとしても、それは仕方がない。(Fリーグ16シーズン15度優勝の)絶対的王者名古屋にも、攻め続ける湘南styleには手応えを感じていますし、新たなシーズンを迎えるにあたり全日本選手権で得た自信など、良い流れはあります。

チーム始動日の4月15、16日にかけては山北町で合宿し、コミュニケーションを重視しながらチームビルディングを行い開幕に備えて準備してきました。

絶対的エースとして君臨したロドリゴの不在は全員で補う

――今シーズンを迎えるにあたり、昨シーズンとの最大の違いは絶対的エースの不在。2016-17シーズンから7年間在籍し、2021-22季にはFリーグ得点王となる22得点でMVPに輝くなど昨季まで絶対的エースとして君臨した「湘南の先導者」ロドリゴの不在を、どのように乗り越えるのか。

確かに絶対的エースだったロドリゴの不在は、昨シーズンとの大きな違いの一つでもあります。(鍛代)元気も引退しましたし。ドリブル突破から自分で決めることができるロドリゴは不在ですが、逆に出場機会の少なかった若手が全日本選手権で活躍するなど、主力としての自覚が芽生えています。また、昨シーズンは負傷に泣いた(萩原)真夏、(佐藤)玲惟も戻ってきている中で開幕を迎えられる状況にあります。

ロドリゴと同じく左利きの選手もいます。昨シーズンは特別指定選手だった長身の左利きFP牛迫(蒼海)はパスも出来るしアウトレンジからのシュートもあります。そして靏谷(春人)はドリブラータイプで、左利きでも違うタイプになります。右利きですが、(林田)フェリペや(山﨑)歩はスピードを活かした突破が可能で、堀内(迪弥)や(本田)真琉虎洲は前で得点を奪える選手。

確かにロドリゴはいませんが、昨シーズンよりもバリエーション豊富なタイプが揃ってきました。チームとして「個を活かすフットサル」を目指しており、各選手がそれぞれの特徴を活かしながらゴールを奪うことが出来ています。

新加入の元Jリーガー菊池大介は既にグッズ売上トップの人気と強いプロ意識

――Jリーグ湘南ベルマーレユースから2007年にトップ昇格し2012年から背番号「10」を背負った菊池大介が、Fリーグを新天地として選んだ。また、摂南大学フットサル部とカンカンボーイズに所属した前川尚志が新加入した。

菊池はJリーグで10年以上もプレーしているだけあり、基礎能力が高く、パスやボールの競り合いに関してはフットサルでも全然問題ありません。あとはFリーグの競技性に慣れてくれば非常に大きな戦力になります。

一般的にサッカーからフットサルに転向する際に、「サッカーが出来るからフットサルも出来る」と思っている人も多いですが、彼はサッカーとフットサルの競技性の違いを認識しています。

そのため、フットサルを学ぶ姿勢が高く、「一から教えてほしい」のスタンスだから慣れるのも早いですね。プロフェッショナルとしての長年の経験もあり、今何をすべきかをしっかりと自己分析するマインド面の高さも感じられます。

Jリーグ経験豊富な菊池の存在はチームにも好影響を及ぼしており、「JリーガーからFリーガーとしての道もある」と世間から注目される選手になるでしょう。既にグッズ販売でも1番人気で、これまでのトップ選手の数倍は売れていますし(笑)。

そして新人の前川ですが、彼はピヴォのポジションで、しっかりと反転シュートを練習でも打てているので、あとはFリーグでどれぐらいいけるか、に期待しています。

今シーズン注目は「萩原、牛迫、靏谷」。この3人の活躍が上位進出に欠かせない

ーー17年目を迎えるFリーグ。ここ数年は上位争いを演じる強豪クラブの仲間入りを果たした。今シーズン、優勝争いを繰り広げるために活躍が求められる注目の選手は。

もちろん全選手に期待していますが、しいて挙げるなら萩原、牛迫、靏谷の3人ですね。負傷明けの萩原はFリーグでも珍しい長身ドリブラーで全日本選手権でもしっかりと結果を出す活躍をしています。

そして先ほど話したように、ロドリゴと同じ左利きの牛迫と靏谷ですね。外からシュートを狙える牛迫に、ドリブル突破が得意の靏谷。タイプの違う左利き選手により、バリエーションは増えています。

特に靏谷は、ロドリゴ退団を機に、「自分が引っ張っていく立場に」の意識を感じられます。ひとつひとつのプレーの質をはじめ、自分を活かし、チームを活かすために、コミュニケーションを積極的に取っています。

自分が試合に出ていない状況ではコミュニケーションも控え目になりがちですが、今では本当に自覚が芽生えています。これまで主力として出場している選手はもちろん、今シーズンはこの3人の活躍に期待しています。

必勝パターンの「先行逃げ切り」、全得点の26%を占める「セットプレー」で勝利を

――2023-2024シーズンは大会方式もレギュラーシーズン、ファイナルシーズンとなる。セットの組み合わせやシステムなど戦術面含めた優勝への道筋は。

湘南ベルマーレは先制点を奪った試合はほぼ負けていないこともあり、先制点を皆、意識しています。全日本選手権の名古屋戦では1-4からの逆転など、最近では逆転勝利も出てきました。とは言え、最大の勝ちパターンは「先制点」に変わりはありません。

まずは2022-23シーズンのように前線に勝負できる選手を配置する「3-1システム」を継続しながら、システム面では2021-22シーズン途中から引き継いだ、FP4人全員が流動的に動き台形の形をとりながら前線のスペースに走りこむ「4-0システム」も臨機応変に使えます。

交代回数制限のないフットサルならではのセット(4人一組)に関しては、「この選手がいるからこのセットに」ではなく、全員が同じことを出来る中でチームとして一番特徴を出せる選択がベストだと思っています。また、昨シーズンから磨いている「セットプレー」も湘南ベルマーレの大きな武器になりつつあります。一昨年の得点パターンは、ほぼトランジション(カウンター)からです。

もちろん今シーズンもトランジションは継続しますが、相手が攻めてこないことにはカウンター攻撃が出来ません。相手の状況に関係なく、そしてアジア王者を目指すのであれば、トランジション狙いだけでは厳しい状況です。

セットプレーであれば、相手の状況に関係なくこちら主導でゴールを狙えます。実は昨シーズンはセットプレーからの得点が全体の26%と、非常に高い数値を記録しています。

チーム総得点もリーグ2位ですし、攻撃面に関しては良い数字は出ています。定位置攻撃に昨シーズン磨いたセットプレー、そして今シーズンは流動攻撃など更なるプラスを整備しています。

二宮尊徳にあやかり今季スローガンは「積湘為大」、悲願の初優勝で小田原を一気に盛り上げる

――2023-2024シーズンは大会方式もレギュラーシーズン、ファイナルシーズン制となる。また、今シーズンのスローガンは「積湘為大」に決まった。サポーターへのメッセージは。

今季スローガンは「積湘為大」です。この小田原の地の偉人である二宮尊徳先生の「積小為大」をお借りして、これまで積み上げてきた来たものを今シーズンもさらに積み上げながら、優勝を目指します。そのためには「個人のフォーカス」が重要になります。

チームスポーツである以上、チームでやるべきことは全員がやる中で、個の能力を最大限に引き出すこと、個が結果を出すことが優勝への鍵となります。今シーズンは「レギュラーシーズン」「ファイナルシーズン」と大会概要も変わります。まずは、レギュラーシーズンで2位通過を目標に、成績持ち越しとなるファイナルシーズンで優勝を目指します。

昨シーズン終盤は、サポーターの皆様のご協力もあり、声出し応援の実証実験試合もありました。応援制限のあったコロナ禍にFリーグデビューした選手もいる中で、声出し応援に感動、感涙した選手も多いです。小田原アリーナでのホームゲームでは、アリーナの一体感やゴール時のファイヤー演出などもあり「ホームだから勝つでしょ!」とのマインドになっています。

ホームゲームが最大の戦術ぐらい、チームの雰囲気や選手の動きが違います。Fリーグを知らない方もフットサルの攻守の切り替えや迫力、そしてアリーナ競技ならではの選手との距離感の近さも楽しんでもらえます。今シーズンもホームで躍動しますので、応援のほど、宜しくお願いします!

湘南ベルマーレは5月27日(土)14時30分、ホーム小田原アリーナでエスポラーダ北海道と開幕戦を迎える-

データ・参考資料

■伊久間監督プロフィール

伊久間洋輔(いくま・ようすけ)
1976年2月13日、藤沢市生まれ。湘南ベルマーレフットサルクラブ監督。小3でサッカーを始め、日大藤沢高校、国士舘大学ではサッカー部に所属。主にボランチ&サイドバックの自称「がんがん系」、利き足は右。会社員から24歳の時に湘南ベルマーレフットサルクラブの前身「P・S・T・Cロンドリーナ」をわずか7人で立ち上げる。2003年、日本選手権で優勝し、スペイン開催の世界一決定戦に出場。P.S.T.C.LONDRINA育成スタッフ、神奈川県フットサル強化委員長。2007-2008シーズンはFリーグ選手として活躍。スポーツを通じた幼児教育にも力を入れている。最近の趣味は釣り。好きな食べ物は「かりんとう」。

■関連情報

⇒湘南ベルマーレフットサルクラブ公式サイトはこちら
⇒Fリーグ公式サイトはこちら
⇒Fリーグ湘南ベルマーレ伊久間監督の「Fリーグを100倍楽しむポイント」はこちら
⇒小田原アリーナへの行き方「螢田駅」から2回曲がるだけの最短アクセスはこちら

■Fリーグ2023-24 ディビジョン1大会概要

【開催期間】
2023年5月27日(土)~2024年1月14日(日)

【大会概要】
レギュラーシーズン(12チームによるホーム&アウェイ 2回戦総当りリーグ戦)

開催期間:2023年5月27日(土)~2023年12月10日(日)
1. 全22節が終了した時点で、勝点(勝利3点、引き分け1点、敗戦0点)の合計が多いチームから順に上位6チームと下位6チームのグループに分かれる。
2. 勝点が同一の場合は次の各号の順序により順位を決定する。
 (1) リーグ戦の得失点差
 (2) リーグ戦の総得点
 (3) 当該クラブ間の対戦成績(イ:勝点、ロ:得失点差、ハ:総得点数)
 (4) 抽選

ファイナルシーズン(レギュラーシーズンの上位6チーム、下位6チームの2グループによる1回戦総当りのリーグ戦)
開催期間:2023年12月22日(金)~2024年1月14日(日)
レギュラーシーズン終了後の勝点を持ち越し、全5節終了後に順位を決定する。

【年間順位決定方法】
・レギュラーシーズン22節、ファイナルシーズン5節の全27節が終了した時点で、上位リーグのうち勝点の合計が多いチームを年間優勝チームとする。
・上位6チームと下位6チームとの間で順位が入れ替わることはない。

引用:Fリーグ公式サイト 大会概要

■湘南ベルマーレフットサルクラブの全シーズン順位

■ベルスポ

BELLMARE SPORTS。Fリーグ湘南ベルマーレの試合結果をはじめ、フットサルに関するコラムなどをスポーツ新聞風にお届け予定。

  • ライター
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taka

イタリア在住10年の経験則で、仕事の終了時間をリスペクトするアラフィフおっさん。慶應義塾大学環境情報学部中退⇒イタリア国立ペルージャ外国人大学留学中にイタリア語通訳などを始める。イタリア最大スポーツ紙La Gazzetta dello Sport翻訳記事@livedoorニュース▶セリエA通信員&記者@日刊スポーツ▶コピーライター&企画&コンテンツマーケティング@広告代理店▶Webディレクター&Web広告&SNSキャンペーン@Web制作会社▶今ここ。趣味はフットサルとたまにする料理。 詳細は「about」ページに 。

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